2024/04/21 20:39


【風の駅新刊入荷情報】
観光地ぶらり
サイン本、はがき付

行列に並んで観る絶景も悪くないが、そこで生活する人々の呼吸を聞き、その土地と対話する姿勢に感動を覚えた。 又吉直樹


話題作『ドライブイン探訪』の著者が、各地の「観光地」を巡り、日本の近代の歩んできた足跡をたどる傑作ノンフィクション・エッセイ。旅とは、生活とは、歴史とは、世界とは、生きることとは。

絶景のなかに、何を見るか。
わたしたちの目は、絶景を見慣れている。どんなに美しい景色でも、1時間、2時間と見惚れることは稀で、しばらく眺めたあと、
写真を撮って立ち去る場合がほとんどだ。
わたしたちは、ちゃんと景色を見つめられているだろうか? 
絶景を前に立ち止まり、目を凝らすことで、見えてくる姿がある。
じっと耳を澄ますことで、聴こえてくる声がある。
そんな偶然の出会いに、「ささやかな未知」が詰まっている。
ここではないどこかに、わたしとは違う人生を生きている誰かがいる。
そんな誰かを想像することは、世界に触れようとすることであり、
それこそが「観光」なのではないかと、僕は思う。(「あとがき」より)(出版社)